スペシャル

ビル・エヴァンス

ジャズ・ピアノの美を極限まで追求したアーティストがビル・エヴァンスである。水晶のようなタッチ、優美なメロディ・ライン、透き通るようなハーモニーは、時代がどう移り変わろうと少しも輝きを失うことがない。
1929年8月16日、ニュージャージー州プレインフィールド生まれ。2歳上の兄がピアノのレッスンを受けていたので後を追って習うようになり、続いてヴァイオリン、フルート、ピッコロ等に親しんだ。ジャズに魅せられたのは12歳のとき。少年時代、特によく聴いたジャズ・ミュージシャンとしてナット・キング・コール、アール・ハインズ、バド・パウエル、ジョージ・シアリング等の名を挙げている。
46年にはフルートの奨学生としてニューオリンズにあるサウスイースタン・ルイジアナ・カレッジに入学。同時にクラシックを習いなおし、クラシック・ピアノと音楽教育の学位を習得。ただし志望はあくまでもジャズであったようで、カレッジを卒業後、ただちにジャズ・バンドに参加。約3年の兵役期間を経て、54年下旬にニューヨークへ進出し、56年に初アルバム『ニュー・ジャズ・コンセプションズ』を吹き込んだ。58年4月にはマイルス・デイヴィスのバンドに加入。在籍期間は約7ヶ月という短いものだったが、翌年3月マイルスに呼び戻され、ジャズ史上の名盤『カインド・オブ・ブルー』に貢献する。そして秋には、自身のグループを結成。数名のベース奏者やドラマーが去来した後、スコット・ラファロ、ポール・モチアンとの“黄金のトリオ”が完成した(ラファロは61年7月に死去)。65年にはニューヨーク「タウン・ホール」で初の大規模なリサイタルを開催。73年1月には来日公演が実現、ファンの熱狂的な歓迎ぶりにすっかり気をよくしたエヴァンスは以後74年3月、76年1月、78年9月と日本を訪れた。80年9月10日、ニューヨークのジャズ・クラブ「ファット・チューズデイズ」への出演を最後に入院し、その5日後に他界した。

エヴァンス、ここがポイント

●ピアノ・トリオの新次元を拓く
従来のピアノ・トリオはあくまでもピアニストが主役で、ベース奏者とドラム奏者は伴奏にまわることが定石だった。しかしエヴァンスはベースやドラムをピアノと同様に重視し、メンバー3人が同時に即興を繰り広げながら音楽を創造するフォーマットを確立。ここにピアノ・トリオは新次元を迎えた。
●ジャズ・ワルツの立役者
彼が本格的な活動を始めた1950年代、ジャズで演奏される楽曲は基本的に4拍子であり、ワルツは「変拍子」扱いされていた。しかしエヴァンスは「いつか王子様が」、自作「ワルツ・フォー・デビイ」等のワルツ曲を積極的に取り上げ、ワルツをジャズ界に広める役割を担った。
●“ひとり多重録音”でグラミー賞獲得
1963年、意欲作『カンヴァセーション・ウィズ・マイセルフ』を発表。自身の演奏を三重録音した“ひとりピアノ・アンサンブル”でアルバムを構成するという試みは前代未聞だったが、大変な好評を博し、生涯初のグラミー賞を獲得。後年、2枚の続編もリリースした。
●数々の名ベーシストを起用
1959年には天才ベース奏者、スコット・ラファロをトリオに起用。彼の事故死(61年7月)後はチャック・イスラエルズ、ゲイリー・ピーコック、エディ・ゴメスらがレギュラーを務め、78年から始まる、いわゆる“ザ・ラスト・トリオ”ではマーク・ジョンソンがベースを担当した。いずれもジャズ史に輝く名手ばかり。
●後進からも絶大なリスペクト
82年にリリースされたLP『Bill Evans: A Tribute』ではハービー・ハンコック、チック・コリア、マッコイ・タイナー等がエヴァンスのオリジナル曲や愛奏曲を演奏。パット・メセニーとライル・メイズのアルバム『ウィチタ・フォールズ』にはエヴァンスの命日に因む「9月15日」という追悼曲が収められている。

ビル・エヴァンスの作品

  • 『オン・ア・マンデイ・イヴニング』

    ■『オン・ア・マンデイ・イヴニング』  UCCO-1172 ¥800
    ビル・エヴァンスの晩年を代表する名盤『アイ・ウィル・セイ・グッドバイ』『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』と同じ、エディ・ゴメス(b)~エリオット・ジグムンド(ds)とのトリオによる完全未発表コンサート音源(海賊盤でも過去に流通なし)が、40年の時を経て奇跡の登場!
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  • 『モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス+1』

    ■『モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス+1』  UCCO-5557 ¥1,500
    モントルー・ジャズ・フェスティヴァルの名前を世界に広めたビル・エヴァンスの傑作ライヴ盤。ジャック・ディジョネットを新ドラマーに迎え、これまで以上に躍動的なパフォーマンスを展開。「ナーディス」「いつか王子様が」等の定番が、アグレッシヴに生まれ変わった。グラミー賞受賞作品。
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  • 『アローン+2』

    ■『アローン+2』  UCCU-5562 ¥1,600
    ワン&オンリーのジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスが全編無伴奏ソロに取り組んだ大傑作。ジョー・ザヴィヌル作「ミッドナイト・ムード」、14分におよぶ「ネヴァー・レット・ミー・ゴー」等を題材に、神秘的かつ官能的な世界を繰り広げる。グラミー賞受賞作品。
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  • 『ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・セッション’67』

    ■『ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・セッション’67』  UCCU-5572 ¥1,600
    50年代からの盟友、フィリー・ジョー・ジョーンズとの再会セッションを収めた“ヴィレッジ・ヴァンガード”でのライヴ。「ヴェリー・アーリー」などエヴァンスを代表するオリジナル曲からバート・バカラックの名曲「アルフィー」のカヴァーまで、バラエティに富んだ選曲も大きな魅力。
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  • 『ホワッツ・ニュー』

    ■『ホワッツ・ニュー』  UCCU-1172 ¥1,500
    ジャズ・ピアノの詩人ビル・エヴァンスと、ロック界でも話題を集めていた気鋭フルート奏者ジェレミー・スタイグが組んだエモーショナルなセッション。「枯葉」「ソー・ホワット」「ラヴァー・マン」など有名ナンバーが、スリリングかつアグレッシヴに生まれ変わる。
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  • 『トリオ'64』

    ■『トリオ’64』  UCCU-5584 ¥1,300
    後年キース・ジャレットとの共演でも知られるベーシスト、ゲイリー・ピーコックとの唯一の共演を収めた一枚。愛らしいテーマを持つ「リトル・ルル」、クリスマス・ソング「サンタが街にやってくる」など珍しいレパートリーも織り交ぜながら、快活なパフォーマンスを繰り広げる。
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  • 『トリオ'65』

    ■『トリオ’65』  UCCU-5585
    スコット・ラファロの後任として参加したチェック・イスラエルを含むトリオで「イスラエル」「エルザ」「ハウ・マイ・ハート・シングス」等の愛奏曲を新録音した人気盤。さらに磨きのかかったエヴァンスのピアノ・プレイ、トリオの一体感に心を奪われる。

  • 『ワルツ・フォー・デビイ+4』

    ■『ワルツ・フォー・デビイ+4』  UCCU-5551 ¥1,600
    ジャズ史上最高の人気を誇る名作。ロマンティックなメロディが名門ジャズ・クラブのざわめきの中へ溶け、奇跡のように美しい演奏が生まれた。
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  • 『ポートレイト・イン・ジャズ+1』

    ■『ポートレイト・イン・ジャズ+1』  UCCO-5552 ¥1,600
    ピアノの詩人が天才ベーシスト、スコット・ラファロと出会った最初の記録。トリオが織りなすスリルと緊張感に満ちたインタープレイが凄まじい。
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  • 『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード+5』

    ■『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード+5』  UCCO-5553 ¥1,500
    『ワルツ・フォー・デビイ』と対をなすライヴ盤。録音から11日後に急逝した名手スコット・ラファロのしなやかで美しいベース・ワークは永遠に。
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  • 『エクスプロレイションズ+2』

    ■『エクスプロレイションズ+2』  UCCO-5556 ¥1,700
    静謐な美しさを湛えた、リヴァーサイド4部作中最高の完成度。知性と抒情が融合するエヴァンスのピアノが、限りなく耽美な世界を描いていく。
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  • 『ムーンビームス』

    ■『ムーンビームス』  UCCO-5559 ¥1,050
    ニュー・トリオで録音した、ジャズ・ピアノの詩人の復活作。甘美でロマンティックなバラードを中心に繰り広げる耽美的なプレイが胸に迫る。
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  • 『インタープレイ+1』

    ■『インタープレイ+1』  UCCO-5562
    ジャズ・ピアノの詩人が珍しくクインテット編成で録音した傑作。ジム・ホール、フレディ・ハバードを迎えてスリリングな演奏を聴かせる。

  • 『グリーン・ドルフィン・ストリート』

    ■『グリーン・ドルフィン・ストリート』  UCCO-5565
    ポール・チェンバース~フィリー・ジョー・ジョーンズという強力なリズムをバックに、明快なタッチでリラックスしたプレイを繰り広げる快演集。

  • 『ハウ・マイ・ハート・シングス+1』

    ■『ハウ・マイ・ハート・シングス+1』  UCCO-5567 ¥1,400
    『ムーンビームス』と対をなす、チャック・イスラエルを新ベーシストに迎えたトリオ作。有名なスタンダード・ナンバーに新たな息を吹き込む。
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  • 『エヴリバディ・ディグズ・ビル・エヴァンス+1』

    ■『エヴリバディ・ディグズ・ビル・エヴァンス+1』 UCCO-5570
    トリオとソロが半分ずつで構成された、ジャズ・ピアノの詩人の第二作。中でもバラード「ピース・ピース」の気品あふれるソロ演奏が絶品。

  • 『ビル・エヴァンス・トリオ・アット・シェリーズ・マン・ホール+1』

    ■『ビル・エヴァンス・トリオ・アット・シェリーズ・マン・ホール+1』  UCCO-5575 ¥1,600
    知性溢れるピアノと温もりあるベースとのコントラストが美しい傑作ライヴ盤。リラックスした雰囲気の中、有名スタンダードを次々と披露する。
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  • 『ニュー・ジャズ・コンセプションズ+1』

    ■『ニュー・ジャズ・コンセプションズ+1』  UCCO-5577 ¥1,500
    永遠の名曲「ワルツ・フォー・デビイ」の初演を含む初リーダー作。瑞々しいトリオ演奏と静謐な美しさのピアノ・ソロの両方を収録している。
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  • 『アンダーカレント』

    ■『アンダーカレント』  UCCU-5759 ¥1,500
    「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の名演で知られるジャズ・ピアノの詩人と名ギタリストの対話。ジャズが表現しうる最高の美しさを捉えた名盤。
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  • 『トニー・ベネット&ビル・エヴァンス』

    ■『トニー・ベネット&ビル・エヴァンス』  UCCO-5605 ¥1,400
    現役最高のヴォーカリスト、トニー・ベネットとジャズ・ピアノの詩人ビル・エヴァンスが共演した美しいデュオ・アルバム。類まれなる個性の邂逅が叙情的かつ情熱的なジャズ・ヴォーカルの傑作を生み出した。「ワルツ・フォー・デビイ」、「マイ・フーリッシュ・ハート」の詩情が心に沁みる。
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  • 『イ・ウィル・セイ・グッドバイ+2』

    ■『アイ・ウィル・セイ・グッドバイ+2』  UCCO-5606 ¥1,600
    ジャズ・ピアノの詩人が耽美な世界観を描いたピアノ・トリオの名盤。ミシェル・ルグランのタイトル曲が切なくドラマティックに響く、グラミー受賞作。
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  • 『ベスト・オブ・ビル・エヴァンス』

    ■『ベスト・オブ・ビル・エヴァンス』  UCCU-1440/1 ¥2,700
    ジャズ・ピアノに新たな息吹を吹き込んだ孤高の天才、ビル・エヴァンス。不朽の名曲「ワルツ・フォー・デビイ」、大スタンダード「枯葉」をはじめ、彼の輝ける足跡を網羅したベスト・アルバム。
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